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失語症

2019年3月22日 (金)

言葉のない世界の生きづらさ~若い失語症者Cくんの場合

皆様、明けましておめでとうございます!

豆まきしましたか!?

お雛様出しましたか!?しまいましたか⁉

3ヶ月分のご挨拶でした。

どうも、ご無沙汰いたしております、はなこですヽ(´▽`)

12月からなぜか月に一度は風邪をひくという、理不尽な目にあっております。

やっぱりトシですかねえ…

暖かくなってきてようやく復活の兆し。



さて、今回も失語症の話題ですが、失語症と言えば脳卒中後遺症というイメージが強いですね。

しかしてんかん発作や交通事故などの頭部外傷でも生じます。

そしててんかんや頭部外傷は大人だけではありませんし、若年性の脳血管疾患もあります。


今回もフェイクをまじえています。


Cくんは13歳の少年。脳梗塞で右片麻痺と運動失語になってしまいました。

リハビリに熱心で、装具を着ければ杖なしで歩け、

右上肢は実用性が無くても左手で身の回りのことは頑張ってこなしていました。

語想起障害と発語失行のため言葉はたどたどしいのですが、

コミュニケーション意欲がとても高くスタッフと冗談を言いあったりもしており、

Cくんがいるとその場がぱっと明るくなりました。

そんなCくんですから、スタッフや他の入院患者さんに可愛がられていました。


でもある時、「Cくんが大変だ」とスタッフが数人あわただしく外へ出ていきました。

近くの公園にCくんがいるらしいとのこと。

Cくんは号泣しながら動く左手で鉄棒を握りしめ、

動かない右足で地面をけり逆上がりをしようとしていたそうです。

そして「僕だってできるんだ」「なんでみんなとちがうの」「くやしい」など、

たどたどしく言葉の断片を少しずつ吐き出していたそうです。

よろけるたびにスタッフが止めようとしますが、興奮して拒絶し、

何度も何度も試みていたとのこと。

結局Cくんが疲れて動けなくなるまで、スタッフは見守るしかなかったそうです。


発達段階にある子供が途中で成長を阻害されるような事態に陥ると、

どんなに頑張ってリハビリをしても、周りの同年代の友達との間に大きな差が生まれてしまいます。

お見舞いに来てくれたらうれしい。

でも実際に会ってみると、数か月ぶりに会う友人たちは少し大人びていたり、

自分にはわからない学校の話で盛り上がっていたり、

もしかしたらいつの間にか彼女彼氏ができていたりする子もいるかもしれない。

そして何より、若い子供たちの話はくるくると次の話題へと転換していきます。

失語症のある子供には過酷なほどついていけないことが多いでしょう。

そんな違いを実感して、Cくんがこれまで抑えていた不自由さへの不満が爆発してしまったのです。


Cくんはその後どんなふうに成長しどんな大人になったのでしょう。

学校は?仕事は?今どんな生活をしているのでしょう。


若い失語症者には高齢者とは違う悩みがあり、

友の会などで交流しても何となく疎外感を感じることがあると聞きます。

そんな若い失語症者が集う会があるのをご存知でしょうか。

この流れが広く地域社会にも浸透し、悩みを分かち合う場が増えればと思います。

若い失語症者の集い http://www.geocities.jp/wakai_tudoi/page/idx_annai.html

※上記URL3月一杯で使えなくなるそうです。

2019年4月より http://tudoitokyo.g2.xrea.com/index.html



2018年5月16日 (水)

言葉のない世界での生きづらさ~Aさんの話

こんにちは、はなこですヽ(´▽`)

ん?

前の更新はいつだって?

知らんがなヽ(´▽`)

超開き直りモードに突入。

気がついたら新年度だし目が覚めたらGW終わってるし。

まあ~時の経つのは速いものねぇ…(*゚▽゚)ノ

…怒られそうなので本題へ。

前々回の記事で失語症者支援のお話を書きました。

世間の健常者は、

「言葉がしゃべれないって不便よねえ…」くらいの認識だと思います。

責めているわけではありませんよ。

実のところ、失語症者に接する機会の多い私たちSTも、

同じようにしゃべれない辛さというのは想像するしかないのです。

どのくらいの生きづらさを抱えているか、実感として捉えることはできません。

逆に言えば、客観的にみているからこそ支援ができると考えることもできます。

当事者と同じ辛さにどっぷりと浸ってしまったら、

苦しさのあまり身動きが取れなくなるかもしれません。

こんなケースについて聞いたことがあります。

(個人が特定されないよう、少々フェイクをまじえています。)

Aさんは70代男性。

重度の運動失語で自発話はほとんどなく、単語の復唱がやっと可能なレベル。

複雑な文の理解は困難ですが、日常会話は理解でき、

状況判断力もあります。

片麻痺があり、装具を付けて歩行可能です。

奥様と娘さん一家と同居していました。

ある日、Aさんが一人で家にいるときに同居のお孫さんの同級生が数人訪ねてきました。

そのうちの一人が言いました。

「○○君のクラスメイトです。○○君に言われて本を取りに来ました」

平日の昼間。

まだ学校で授業をしている時間じゃないのか…?

変に思いながらも彼らを家にあげました。

お孫さんの部屋に入り目的のものを持って、その日彼らは帰りました。

夕方帰宅したお孫さんにこういうことがあった、と話したくても話せないので、

気になりながらも黙っているしかありませんでした。

そして次の日、また彼らはやってきました。

「○○君に言われてラジカセを取りに来ました」

やはり日の高い時間帯。おかしい。

孫が友達を使い走りにするだろうか…?

いぶかしく思いながらも、失語のあるAさんには問いただすことができません。

彼らは目的のものを持って行きました。

それからも数回そんなことがあり、バット、ゲーム、色々な物を持っていかれました。

Aさんは不安になりながらも何もできませんでした。

そして、たまたま奥様が在宅の時に彼らが現れ、

何しに来たの?まだ学校のある時間でしょ?

名前は?クラスは?など問いただしたところ、逃げ帰ったとのこと。

その日の夜、奥様が娘さんにその話をし、

娘さんがお孫さんと一緒に部屋を確認すると、

彼らが持って行ったものは返されないまま無くなっていたそうです。

そこでお孫さんに対するいやがらせ(いじめ)が発覚。

奥様にこれまでにもこういうことがあったの?と訊かれて初めて、

Aさんはそうだ、と伝えることができたのです。

お孫さんが災難にあっていることに薄々感づいていながら何も言えず、

逆に黙認するような形になってしまった罪悪感はいかばかりだったでしょうか。

Aさんは週に2回外来でリハビリを受けていてSTと会う機会もありました。

もっとも言語症状について理解している相手にすら、伝えることができなかったのです。

ご家族から聞かされたSTがリハビリの時にじっくり話を聞いてみた時に、

奥様が言ったように「何しに来たの?」とか、

「(孫が持ってこいと言ったのは)本当か?」とか、

一言でも自分も言えたら良かったのに、

とAさんは涙ぐまれたそうです。

そしてAさんの心配事に気付いてあげられなかった、と、

担当のSTも深く落ち込んでしまったとか。

失語症当事者の周りの方が、

「話せなくなったなら話さなきゃいいじゃない」

「私たちが代わりに通訳してあげるよ」

等と口にするのをしばしば耳にします。

家にこもっていれば誰とも会わずに済むし…と。

しかし、実際はそんな単純なものではありません。

家にいながらもAさんのような目にあうこともあるのです。

失語症者支援の話題が出るたびに、この話を思い出すはなこでした。

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