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2018年12月 2日 (日)

言葉のない世界の生きづらさ~感覚失語Bさんの場合

こんにちは、はなこですヽ(´▽`)。
どうもこのブログは改行が難しい。
詰まったり離れたり何なんだ!?
途中で変になっても気にしないでくださいね~


12月の勉強会で「失語症支援者養成事業」についてお話をさせていただくこととなりました。
今年3月5日の記事でも挙げていますので、どうぞご参照ください。
それに関連して、今回は失語症の話題。

今日は、感覚失語のお話です。
感覚失語とは、聴覚的理解が低下し、滑らかに話すものの内容が全く分からない発話をす
る、
というのが大きな特徴です。
別名ウェルニッケ失語とも呼ばれと言われて、どのくらいの方がその実際の症状を想像できるでしょう?
一番典型的な感覚失語像を挙げると、
・話しかけても返事をしない、あるいはしょっちゅう聞き返す。
・内容にそぐわない応答や反応をする。
・相手が話しているにもかかわらず、さえぎるように一方的にしゃべりだす。
・声が大きくまくしたてるように話し続け止まらないが、内容が分かりにくい。
・日本語に無いような単語らしきものが出てくる、同じ語が何度も出てくる。
・だらだらしゃべるものの「あれ」「それ」などの指示語が多く内容が無い。
こんな感じでしょうか。
特に後半の、脈絡もなくいろいろな言葉が組み合わさった意味のない発話をジャルゴンと
呼びます。
どういえばイメージしやすいか考えてみましたが…
よく、外国人とのやり取りに例えられますが、
「まったく日本語のわからない外国人が、日本人相手に『自分の言葉が通じないは
ずがない!!!』と信じ込んでいて、相手の困惑を全く気にも留めずに大声で流暢にまく
したてる」
という感じでしょうか。
例外はもちろんありますが、
「自分の話が通じていないことを自覚できない」という点が特徴的です。


一昔前、まだ失語症がどういうものなのかよく知られていない時代、
このような言動は精神病では…と誤解され、
感覚失語の方がしばしば精神科に送られたという話を、
はなこがSTになりたての頃に聞きました。
このタイプは病識が無いので、
「自分に障害がある」「自分の言語能力の問題である」とは考えられず、
「相手がわざと自分に分からないように言っている」「相手に問題がある」
と捉えることがしばしばあります。
通じない、理解できないと苛立って激昂したり…
ですから、トラブルを起こすこともあるのです。
失語症についての知識を得て長年この仕事に従事してきた現在では、
聴覚的フィードバックが機能しておらず自分の発話の内容のなさを自覚できない、
それゆえ病識にも乏しくなるとか冷静に考え、ある程度対応することはできます。
耳からの情報が入ってきにくいので書字をして見せて視覚的に入力して理解を促すなど。
しかし知識のない一般の人々はどうでしょう?
このような症状を呈する方に出会うと非常に驚くのではないでしょうか。
あまりに早口に畳みかけるように話すため、
「怒られているのか…もしかしたら危害を加えられるかも…」と恐れをなす方もいます。
そして失語症当事者は、
「自分に会う人が皆変な表情で自分を見ているのはなぜ?」
「この人はなぜ自分に分からないような話し方をするのか?」
とストレスをためていく。
そんな悪いループに陥ってしまうことが度々あるのです。


50代後半のBさんは、ある日久々に会った夫に包丁で切りかかりました。
入院生活が長引いて離れ離れの生活を送る中で、
「夫が来ないのは浮気をしているからではないのか?」と疑ったのです。
実際は慣れない家事と仕事で忙殺されていたのですが、
電話で声だけ聞いていても何を言われているかわかりません。
Bさんの日ごろのコミュニケーションの状況は、
文字などを提示することでようやく相手の意図がくみ取れる状態であり、
発話はジャルゴンで夫にも理解してもらえません。
(本語がしゃべれない外国人と電話でやり取りすることを想像してみると、
少しは実感がわくのではないでしょうか。)
Bさんは自分が失語症であることをある程度は理解できていました。
会えない上、電話でもやり取りできず、自分ひとり他人の中に放り出されている。
被害妄想を抱いても仕方がないかもしれません。
リハビリ中に会話をしていて危うさに気付いたセラピストが話を聞き、
誤解を解こうとカウンセリングをすすめていた矢先の出来事でした。
幸い夫婦とも怪我はありませんでしたが、夫の受けた精神的ショックは大きかったでしょう。
それ以降はなるべく時間を作っては見舞いや外泊など行うようにしたそうです。


これは決して極端な例ではないと思います。
はなこがお会いした失語症の方の中で、
感覚失語の方が精神不安定になるケースが多かったように思います。
ですからなるべく相手の意図をくみ取りたいという姿勢を、
常日頃から明確に示すように心掛け、ラポートを形成する努力をしてきました。
しかしそれでもうまくいかないことが多く、私たち言語聴覚士も苦悩します。
そしてさらに思うことは、
苦悩しながらも、諦めてはいけない。
私たちが諦めたら失語症当事者に寄り添うことはできません。

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